やる気のでないとき

「どうした・・・浮かない顔して。」「いや・・・別に何も・・・。」
「つまらなそうな顔をしているな。具合でも悪いのか?」「うん。。ちょっと・・・ね。」
「なんだ。風邪でも引いたのか?もっと元気を出せよ。」「そうだね。」
「何か嫌なことでもあったのか?」「うーん・・・そういうわけではないんだけど。」
「本当か?何か悩んでいるんじゃないのか?そういう顔をしているぞ。」「え・・・そ、そうかな。」
「何か考えこんでいるから、具合も悪くなるんじゃないのか?いや、具合が悪いような気がしてくるんじゃないのか?本当はそういうわけでもないのに、ただ気持ちが沈んでるから具合も悪いような気になっているんじゃないのか?」「・・・・・・。」
「一人でそうしていても何もよくならないぞ。」「・・・あなたに何が分かるっていうんだ。」
「分からないな。ただお前さんが心配なんだ。だから聞いている。」「・・・余計なお世話だよ。」
「・・・。」「・・・。」
「嫌なことっていうのはな、何もしなければ嫌なことのままなんだ。やり始めてあれこれがんばっている内に好きになることはあっても、逃げている内は嫌なことでしかないんだよ。しかも逃げている時間が長ければ長いほど、どんどん嫌になってしまう。誰にだってそういうことはあるんだ。だからそのことを恥じたり怖がる必要はない。でもずっと逃げてばかりもいられないだろう?大切なのはほんの少しの勇気さ。正面からちゃんと向かい合えれば、大抵の問題は簡単なものなんだ。そしてそのきっかけなんていうのはな、悩むなんてばかばかしいくらい些細なものなんだよ。例えば、今おれとこうして話してることみたいに、な。」「・・・・・・。」
「逃げてばかりいて、敵の強さを勘違いするんじゃあないぞ。大丈夫。お前さんが思っているほど敵は強くもこわくもないんだ。」「・・・。ありがとう。なんだか少し力が湧いてきたような気がする。」
「お、そうか。よかったな。ははは。」「うん。じゃあちょっとやってみるよ。」
僕はようやく重たい腰を上げた。